【4.後遺障害逸失利益の様々な事例|交通事故の消極損害】

「赤本」は事例豊富!

目、耳、鼻、神経系統・・・といった部位別の判例もあると参考になりますね。

 

赤本の後遺障害逸失利益の章の後半にはさまざまな事例が載っています。

 

自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された事例もたくさんあります。

 

自分の障害に近い事例を見つけて、少しでも賠償金が上がるようにしましょう。

 

事例は主に「赤本(※)」から抜粋しているので、正確な情報が必要な場合は原本を参照してください。

 

※「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」 弁護士が賠償請求額を決める時に使うバイブル

 

眼の障害

  • 正面視複視の看護師。退職を余儀なくされた。自賠責の労働能力喪失率は一般的な仕事の話であって、看護師の場合は加算が必要と判断。17年間40%を認定。
  • 複視で運転やパソコン操作がつらい女性。就労時間が8時間から4時間に半減し、減収も発生していることから、36年間20%の労働能力喪失を認定。

 

耳の障害

  • 耳鳴りや難聴で14級のタクシー運転手。8年間14%の労働能力喪失を認定。
  • タクシー運転手。右肩14級左耳10級を併合10級とし、25年間27%の労働能力喪失を認定。

 

鼻の障害

  • 臭覚脱失の花屋経営者。仕事に支障がある上、家事にも影響が出ているとして、27年間14%の労働能力喪失を認定。
  • 中学技術家庭科の教師。臭覚脱失は授業に支障をもたらすとして43年間14%の労働能力喪失を認定。
  • 調理師。臭覚脱失はこの職業に致命的であり、平均余命の1/2(10年間)20%の労働能力喪失を認定。

 

口の障害

  • 咀嚼障害の主婦。67歳まで27%の労働能力喪失を認定。
  • 発生障害で会話能力が落ちた男性。40年間25%の労働能力喪失を認定。

 

神経系統の機能または精神の障害

 

遷延性意識障害(いわゆる植物状態)
  • 大学生。推定余命10年とする被告主張を斥け、67歳まで100%の労働能力喪失を認定し、生活費控除もしなかった。
  • 3歳の男児。余命15年・5割の生活費控除との被告主張を斥け、18〜67歳まで100%の労働能力喪失を認定。

 

高次脳機能障害
  • 知能指数が96に落ちた女性会社員。配置転換の上、係長職を解任。31年間56%の労働能力喪失を認定。
  • デザイナー。事故後、デザイン能力は落ちていないが、記憶力や協調性が低下してトラブル続出。85%の労働能力喪失を認定。
  • 事故の5カ月前に転倒事故で脳挫傷。自賠責は加重障害を主張したが、判決は既存障害を否定して48年間79%の労働能力喪失を認定。
  • びまん性脳損傷による神経・精神障害の女性。居酒屋や喫茶店勤務を試みたが仕事を覚えられない。35年間60%の労働能力喪失を認定。

 

てんかん
  • 外傷性てんかんのタクシー運転手。11年間35%の労働能力喪失を認定。

 

脊髄障害
  • 自賠責は12級としたが、判決は障害の程度を12級より重いとして29年間20%の労働能力喪失を認定。
  • 脳性まひでもともと足に軽い障害を持っていて、下半身不随となった被害者。自賠責は足の障害を既存障害としたが、これを斥けて31年間100%の労働能力喪失を認定。

 

PTSDその他の非器質性精神障害

PTSDその他の非器質性精神障害では、素因減額が問題になることが多いです。

 

簡単に言うと、性格や体質が並外れて弱いためになったのであって、全部事故のせいではないのではないか、ということが争点になりやすい。

 

  • 身体能力・知的能力に問題はないが、PTSDではなく「特定不能の不安障害」とされた小学生。18歳から10年間35%の労働能力喪失を認定。
  • 会社員の女性。不眠、意欲低下、フラッシュバックに対する恐怖など。PTSDは否定したが、18年間5%の労働能力喪失を認定。
  • 自賠責が否定したPTSDを認定し、11級相当として扱い、10年間20%の労働能力喪失を認定した例。

 

RSD(CRPS)等の疼痛障害

RSDとは、「交感神経の異常な反射亢進を基盤とする疼痛、膨張、関節拘縮などを主な症状とする病態」です。

 

1994年の慢性疼痛分類でRSDとカウザルギーがCRPSにまとめられました。

 

カウザルギーとは末梢神経の損傷で起きる継続的な神経痛です。

 

いずれにせよ、痛みが外観からの推定より大幅に上回る場合、素因減額が争点になりやすいです。

 

  • 被告の素因減額主張を斥け、RSDの被害者に14年間20%の労働能力喪失を認定。
  • 激しい疼痛を訴える大学教授。皮膚変色や骨委縮がないのでRSD認定は困難だが、9級相当19年間35%の労働能力喪失を認定。
  • 神経症状の残る主婦。CRPSの診断基準を満たし、ギボンズのRSDスコアも基準以上、複数の医師も罹患を認めていることから、10等級程度のRSD・CRPSとし、38年間27%の労働能力喪失を認定。

 

局部の神経症状

むち打ちもそうですが、ほかの部位でも本人にしかわからない痛みが認められることがあります。

 

  • 両足の骨折部がしびれる主婦。家事に支障をきたすとして、平均余命の1/2(11年間)5%の労働能力喪失を認定。
  • 左手首を骨折した派遣社員。骨折後の痛みについて10年間14%、その後19年間10%の労働能力喪失を認定。
  • 下請け縫製業者。頸部痛・腰痛により、振動の強いミシンが使えなくなったとして、7年間50%の労働能力喪失を認定。
  • ピアノ講師。事故と尺骨神経痛の因果関係を認め、34年間10%の労働能力喪失を認定。
  • 61歳の画家。右手指神経症状により、画家としての能力は喪失しており、今から他の仕事も難しいと判断。9年間50%の労働能力喪失を認定。

 

外貌醜状

容姿が醜くなってしまった場合も後遺障害等級が認定されます。

 

以前は認定基準に男女差があり、女性の外貌醜状の方が高い等級を与えられていました。

 

男性は女性ほど容姿は重要でないという考え方ですね。

 

しかし、平成22年6月10日以降に発生した事故については、男女の区別はなくなっています。

 

  • 左眼瞼下垂の接客業アルバイト女性。42年間30%の労働能力喪失を認定。
  • 右顔面変形、味覚低下等の寿司職人。36年間56%の労働能力喪失を認定。
  • 顔面醜状と利き腕の神経症状が残った女子高生。46年間25%の労働能力喪失を認定。
  • 女児の顔面瘢痕。賃セ全労働者全年齢平均を基礎に、18歳から67歳まで14%の労働能力喪失を認定。
  • 男子予備校生。顔面醜状は就職機会の限定、営業成績への影響等がありうるとして、10年間10%等を認定。
  • 55歳の男性。顔面醜状が定年後の再就職等の障害になりうるとして、20%の労働能力喪失を認定。

 

上肢・下肢および手指・足指の障害

  • 鍼灸指圧師。右上肢のしびれ等で12級。手指を使う仕事なので影響大。5年間20%の労働能力喪失を認定。
  • 左肩関節障害の歯科医。細かい作業に失敗することが多くなり、歯科医としての道を断たれた。27年間70%を認定。
  • ホテルの和食調理師。自由に足底をつけて歩けず、3時間以上立っていると足に痛みとしびれ。16年間20%の労働能力喪失を認定。
  • 左ひじ関節機能障害のクレーン運転士。26年間20%の労働能力喪失を認定。